近年、20代でマイホームを購入される方が増えています。
オープンハウス担当者は、総務省「家計調査」によると2023年度の20代の持ち家率が35・2%で過去最高を記録したと報告。20代の持ち家率は7年連続で上昇し、若年層の住宅購入への意識に変化が起きていることが見受けられるとし、オープンハウスでも20代のお客様は増加傾向にあると話した。
20代の持ち家率 2023年度過去最高を記録/日本住宅新聞 より
ーー10年以上前ですが、我が家も20代でマイホームを購入しました。
結婚とほぼ同時期に購入したので、貯金はあまりなく子どももまだいませんでした。
親類からの援助も一切なかったため頭金なしでローンを組みました。
この記事では、我が家が20代頭金なしでマイホーム購入を考えた理由と購入の決め手をお伝えします。
- 家を買うかどうか迷っている
- 何が決め手で購入するのか知りたい
- 20代や頭金なしで実際にマイホームを購入した人の体験談を読みたい
目次:ClickでJump!
頭金なしだけど……20代でマイホーム購入を検討した理由
我が家は結婚とほぼ同時期に一戸建てを購入しました。
当時は子どもがいるどころか妊娠もしておらず、夫婦2人だけでした。
貯金はわずか。それも結婚式や新婚旅行に使いたかったため、頭金なしでの借り入れを考えていました。
ーー家を買うには早すぎますよね。
20代である
当時夫は27歳。
35年ローンを組むならば、返し終わるのは62歳です。
ーー35歳や40歳で35年ローンを組めば、完済年齢もその分伸びていきます。
定年後にローンが残ってしまうのは不安ですよね。
20代であるというのは、私たちにとってマイホームを購入する理由のひとつになりました。
月々の支払額が減る
現在の住宅ローンの返済月額は、当時住んでいたアパートの家賃より1万円ほど安いです。
いざシミュレーションしてその数字を目の当たりにすると、アパートの家賃がもったいなく思えてきてしまいました。
家賃とローンはイコールでは考えられないのですが、これはけっこう魅力的なポイントでした。
精神的にラク
ポストも車もドアを開ければすぐそこ。郵便物の回収や荷物の積み下ろしもらくらくです。
アパート時代は2階の自室からエントランスまで郵便物を取りに行っては、荷物が多い日は駐車場を往復して積み下ろし。
大した距離ではないものの、毎日のこととなると地味なストレスでした。
また、子育てをする上で、子どもが立てる物音や騒ぎ声にピリピリしなくていいのはとてもラクでした。
お隣の方とお会いしたときにそれとなく聞いてみましたが、うるさく感じたことはないとのこと。
こちらもお隣の声や音が気になったことはないので、壁が離れているのは大きいと感じました。
一方、集合住宅に住む知り合いは、「下の階の人から騒音についての苦情の手紙が何度も入る」と悩んでいました。
気をつけているつもりなのに日中の多少の物音で手紙を入れられてしまうそうです。
知り合いは3人お子さんがいるから引っ越しを考えてたよ。
子どものため
当時まだ妊娠していませんでしたが、子どものことも考えて家の購入を検討しました。
前述したように騒音に神経質にならなくて済むし、多少のキズや汚れにも寛容になれます。
また、実家がない私は、子どもに「ここが実家!」と言える場所を作りたかったというのもあります。
もちろん賃貸でも親が住んでいるところが実家ですが、これはもう気持ちの問題ですね。
老後のため
一生賃貸だと
定年後に家賃の捻出が難しくなる
という不安があります。
賃貸の場合、老後は収入が減る上、保証人も見つけづらくなります。
実際、「60歳になると家が借りられなくなった」、「今住んでいる部屋も65歳になったら更新が断られた」というお話もあるようです。
その点、マイホームは年々残債が減り、やがて返し終わります。
年金収入だけでは不安が残るので、老後に少しでも支出を減らせるのはホッとします。
団信がある
住宅ローンには団信(団体信用生命保険)がついているものがほとんどです。
我が家では夫が単独で住宅ローンを組んでくれています。
大黒柱が亡くなったときにローンの心配をしなくて済むのは正直助かります。
もちろん考えたくない話ですし、元気に生きていてくれるのが1番ですが、もしものことまで考えておくべきですよね。
最近の団信は病気に対応してるプランもあるから保険代わりとしても考えられるね。
諸費用を住宅ローンに組み込める
当時は貯金が少ししかなく、それも結婚式や新婚旅行に使う予定だったため、頭金に回せるお金がありませんでした。
幸い夫が金融機関職員だったため住宅ローンについて詳しく教えてもらうことができ、諸費用も含めて住宅ローンを組めることがわかりました。
ーー頭金なしでローンを組むと借り入れ金額が大きくなってしまうのが気になりますよね。
しかし、頭金を出すには貯蓄期間が必要なため、マイホーム購入は数年後になってしまいます。
頭金300万円を貯めてから住宅ローンを組む想定でシミュレーションしてみると、以下のような結果になりました。
今すぐ | 貯めてから | |
---|---|---|
頭金 | なし | 300万円 |
借入額 | 3,500万円 | 3,200万円 |
毎月返済額 | 9万7,954円 | 8万9,558円 |
総支払額 (ローン総額+頭金) | 約4,115万円 | 約4,062万円 |
差額 | ー | 約53万円 |
実際には諸費用がかかるため上記の価格差はもう少し開きが出るものの、差額は約53万円という結果になりました。
貯蓄期間中は毎月家賃がかかるのであれば、頭金を貯めるほうがいいとは言い切れません。
今回、金利は同条件で試算しましたが、数年後に物価や金利が上昇している可能性もあります。
ただし、諸費用を組み込むことで手取りに対して返済が厳しくなる場合は急いで借りることはおすすめしません。
結局、年齢や頭金の有無よりも、無理のない返済計画かどうかが重要だと思います。
【20代頭金なし】マイホーム購入の決め手
当時は20代で子どもはまだ、貯金はわずかという状況でしたが、私たちなりにいろいろ考えた結果マイホームの購入に踏み切りました。
家を買うと決めてからも、どんな家がいいのか、どこで買うのかでたくさん悩みました。
途中迷走もしましたが、良い建設会社とご縁があり今の家に決めました。
当時初めて聞く言葉もありましたが、少しずつ知識をつけていきました。
順番にお話ししていきます。
仲介手数料不要
仲介業者から家を購入すると数十万の仲介手数料がかかります。
しかし、自社建設・自社販売のところで買えばかかりません。
私は初めから「〇〇市 建設会社 仲介手数料不要」のようなワードで検索し、自社販売の会社に絞って家を探しました。
結果的に地元密着型の建設会社を見つけることができ、仲介手数料も節約できたので満足しています。
駅が徒歩圏内
私が昔住んでいたのは、駅から徒歩で1時間弱かかる田舎。
通学や通勤で苦労したため、駅が徒歩圏内というのは外せませんでした。
今は駅が徒歩圏内になり、通勤やお出かけが便利になりました。
ここは妥協しないでよかったポイントです。
間取りが決められる
我が家が購入したのは、建売ではなく建築条件つき注文住宅です。
条件はあるものの、間取りや窓の配置、壁紙や床の色などを自分たちで決められました。
自分が描く理想の家に近づけられたのはよかったです。
間取りに関しては失敗した部分もあるので、プロが考えるお家もいいなと今では思っています。
太陽光発電が標準でついている
我が家には太陽光発電が標準でついています。
追加料金上乗せでつけてくれる建設会社もありましたが、費用対効果がわからなかったため、標準でついている今の家は魅力でした。
売電価格は下がってきていますが、自家消費する分にはじゅうぶんで電気代の節約につながっています。
長期優良住宅である
長期優良住宅の寿命は75〜100年だそうです。
人生100年とも言われる時代ですしなるべく長く住める家がいいですよね。
こちらも希望すれば長期優良住宅にしてくれる建設会社はありましたが、渋い顔をされました。
私たちが最終的に選んだ建設会社は長期優良住宅を専門に扱っていました。
話がスムーズに進み、アフターフォローもしっかりしていると感じたので、ここも決め手になりました。
- 劣化対策
- 耐震性
- 維持管理・更新性の容易性
- 可変性
- バリアフリー性
- 省エネルギー性
- 居住環境
- 住戸面積
- 維持保全計画
長期優良住宅/国土交通省
地震対策がしてある
耐震等級2以上であることが長期優良住宅の条件ですが、我が家はさらに上の耐震等級3です。
さらに、制震ダンパーという地震の揺れを分散させる装置が柱に取り付けられています。
こちらは、動エネルギーを受け止めて別のエネルギーに変換して吸収することで、地震の揺れを軽減してくれるのだそう。

地震はいつどこで起きてもおかしくないため、家に地震対策がしてあるのは心強く思えました。
耐震等級3だと地震保険が半額になるのも嬉しいポイントです。
マイホーム借り上げ制度がある
マイホーム借り上げ制度とは、その名の通りマイホームを借り上げて賃貸住宅として貸し出すJTIの制度のことです。
思わぬ転勤など、一時的に家を空けなければならない事情ができたときに使えるようです。
今の家を購入するにあたり初めて知りました。
1人めの入居者さえ決まれば、後に空室が発生しても規定の賃料を保証してもらえるようです。
- 空室でもJTIが最低賃料を保証してくれる
- 3年の定期借家契約なので、期間が終われば家に戻ることも売却することも可能
- JTIを間に挟むため、入居者とのトラブルが少ない
- 家や土地を売却しなくてよい
- 50歳以上の年齢制限がある
- 相場よりも低い賃料になる
- 賃料からさらにJTIの諸経費として15%が引かれる
- 改修は貸主負担
- ローンが残っている場合は審査が必要
マイホーム借り上げ制度にはデメリットもあります。
50歳以上というのが気になりますが、「かせるストック」であれば年齢制限はなくなるようです。
かせるストック(移住・住みかえ支援適合住宅)とは、JTIが認めた外部の耐久・耐震性基準を満たしている新築住宅のことです。
かせるストックに認定されてる家は、
- 通常必要とされる建物診断が簡略化される
- 年齢制限がない
などのメリットがあります。
今後家を空けることがあるかはわかりませんが、いろいろな選択肢があるのは魅力だと感じました。
「かせるストック証明書とは」/JTI
一般社団法人 移住・住みかえ支援機構
マイホーム借上げ制度 ご利用ガイド/JTI 一般社団法人 移住・住みかえ支援機構
リバースモーゲージがある
リバースモーゲージとは、持ち家のある高齢者が自宅を担保にする代わりに年金のような形で融資を受けられる制度です。
通常では返済することで残りのローンは減っていきますが、リバース(=逆という意味)モーゲージでは増えていくとのこと。
このローンは死亡時に持ち家を売却することで返済されるようです。
この制度についても、当時初耳でした。
- 自宅に住み続けることができる
- 毎月もしくは一括のどちらかで融資が受けられる
- 自由型であれば生活資金以外にも使える
- 生きている間は返済しなくてよい
- マンションは対象外の場合が多い
- 推定相続人(子どもなど)の同意が必要
- 長生きなどで融資枠を使い切ってしまう恐れも
- 子どもに家を遺せない
リバースモーゲージは、老後の住まい有効活用という視点から見ればアリだと思います。
将来子どもが都会で暮らすとすれば、田舎の家を遺されても負担に思うかもしれません。
まだまだ先のことなのでどうするかは正直わかりませんが、子どもに遺すことも遺さないこともできるのはいいと思いました。
リバースモーゲージにはデメリットもあるので、利用前にもう一度よく調べてみることから始めると思います。
リバースモーゲージ型住宅ローン/三井住友銀行
フォローが充実
私たちが建設をお願いした会社では、購入前に勉強会を開いてくれました。
私たち夫婦2人だけの個別対応だったため、質問しやすくとても有意義な時間でした。
マイホーム借り上げ制度もリバースモーゲージもこのときに教えてもらいました。
手付金の額も相談に乗ってもらえたよ。
また、購入したときに「ここからがお付き合いの始まりです」と言ってもらえたのが心に残っています。
実際、毎年年末にはカレンダーを持って挨拶に来てくださいますし、電話で相談に乗っていただいたことも何度かあります。
部品が壊れたときも部品代の600円だけで対応してもらえたのは驚きでした。
ーーこのように、家自体が気に入ったことと、ここにお願いしたいという建設会社さんが見つかったことで我が家はマイホームの購入を決めました。
【20代頭金なし】マイホーム購入の後悔ポイントとその対策
マイホームを購入して10年。
現在私は、あの時思い切って家を買う決断をしてよかったなと思っています。
ーーしかし、タイミングによっては悩んでいる時期もありました。
20代頭金なしのマイホーム購入で陥りやすい後悔ポイントとその対策を書き出してみます。
借り入れ金額が大きくなりやすい
働き始めてまだ数年しか経っていない20代では、一般的に給料が低く借り入れ金額が大きくなりやすいと言われています。
実際に私たちも頭金に回せるお金がなく、諸費用も含めて全額ローンという形を取っています。
そのため「諸費用を含めた合計借入金額」が無理なく返せる範囲なのかどうか注意しました。
現在の家賃が高い場合は先ほどシミュレーションしたように、頭金なしで今買うほうが節約につながる可能性もあります。
返済が苦しくなる
住宅ローンの返済が苦しくなる理由は大きく分けて3つあると思います。
- 返済計画に無理がある
- 収入が減る
- 金利が上がる
年収に対して返済比率が高いなど、元々の返済計画に無理がある場合は返済が苦しくなりやすいです。
頭金なしで購入を考える場合は、「物件価格に諸費用を上乗せした合計借入金額」でシミュレーションする必要があります。
返済額については、別記事 で詳しく解説しています。
20代では収入が不安定なため、収入減により返済できなくなるリスクが指摘されています。
夫の場合、同じ会社に勤めている間は収入が増えることはあっても減ることはほとんどありませんでした。
転職では入社前に給料目安を提示されるため、大幅に下がるところは蹴り、同水準以上の提示があったところに入社しました。
変動金利は金利が上がる恐れがあるため、金利上昇リスク込みで返済計画を考えなければなりません。
金利が上がる心配をしたくなければ全期間固定金利がおすすめです。
我が家はリスクヘッジのために1本の住宅ローンを「変動金利」と「当初20年固定金利」の2本にわけて組みました。
金利の動向と家計の状況を見ながら繰り上げ返済も利用していくつもりです。
↓ミックスローンについて知りたい人はこちら
収入減や金利上昇リスクに備えて少し余裕を持たせた返済計画にするのが理想ですね。
メンテナンスが大変
マイホームの場合、メンテナンスにもお金がかかります。
ちょうど先日10年点検を終えたところですが、今のところ大きな修繕費はかかっていません。
リフォームを考える時期は住宅ローンの借り換えを見直すタイミングでもあるので、借り換え時にリフォーム費用を上乗せするというワザもありますよ。
環境の変化に対応できない
20代だと妊娠や出産、転職などの大きなライフイベントが今後訪れる可能性がありますが、マイホームは環境の変化に弱いです。
転職については、夫が一時全国転勤ありの会社を検討していたため、家をどうするか悩んでいた時期があります。
結局その問題は解決したため今も住み続けられていますが、今後子の進学などでまた悩むかもしれません。
我が家はかせるストックに認定されているので、一時的に賃貸に出す選択肢が取りやすいのはよかったと思いました。
まとめ:頭金なしだったけど20代でマイホーム購入してよかった
当時20代頭金なし子なしという状況だったので色々と悩みましたが、10年住んだ今はマイホームを購入して良かったと思っています。
- 低金利の時代に購入できた
- 返済を進めつつ貯金できた
- 赤ちゃんのうちから一戸建てで子育てできた
今の家に決めたのは、長期優良住宅かつ手放すリスクや老後に関するフォローもあったからです。
この記事がマイホーム選びの一助になれましたら幸いです。
\ 売って終わりではなく、その後もずっとサポートしてくれる! /全棟長期優良住宅。購入していただいてからがお付き合いの始まりです。/吉永建設

今の年収でどれくらい借りられる? わかりやすく解説!
変動金利と固定金利、どっちを選べばいいの? 実は「どっちも借りる」もアリなんです!