※この記事は金融機関職員の監修の下、執筆しています。
変動金利は、金利が変わる。
ーーそれは分かっていても、
- そもそも金利とは
- いつ、どれくらい変わるのか
- リスクヘッジの方法
というような深いところまではなかなか理解しづらいですよね。
しかし、変動金利にはリスクもあるため、分からないまま契約するのはとても危険です。
この記事では、変動金利の仕組みについてわかりやすく解説します。
- 変動金利の仕組みをわかりやすく説明してほしい
- リスクについて知りたい
- 変動金利でローンを組みたいと思っている
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変動金利とは? わかりやすく解説!│①メリット・デメリット
定期的に金利が見直されるタイプのローンを変動金利といいます。
そもそも金利とは
ベビレンタ のように、ベビー用品を必要な期間だけ貸し出してくれるサービスがあります。
借りている期間中は毎月レンタル料金がかかります。
ーー同じように、ローンを借りている期間中も毎月レンタル料金がかかります。
これが利子(利息)です。
ただし、ベビー用品のレンタルとは違い、住宅ローンではこれを残債(借金の残高)による割合で決めます。
これが金利です。
- 借入金額 3,000万円
- 金利 0.625%
1年の利子(年利)を出すには、借り入れ金額に金利をかけます。
つまり、計算式は
3,000万円×0.00625=18万7,500円
となり、1年の利子が18万7,500円だということが分かります。
ーーただし、割合(%)で計算されるので、金利が変わらなければ残りのローンが減った分利子も減っていきます。
- 借金の残高 2,000万円
- 金利 0.625%
先ほどと同じ金利で、1,000万円返済し残り2,000万円となった場合は、
2,000万円×0.00625=12万5,000円
となります。
変動金利のメリットとデメリット
ーー金利について、理解できたでしょうか?
次に、変動金利のメリットとデメリットを紹介します。
- 金利が低い
- 将来的に金利が上昇するリスクがある
変動金利のメリットは、固定金利よりも金利が低いことです。
このまま低金利が続けば返済金額を抑えられる一方で、金利が上がればデメリットにもなり得ます。
- 借りているお金にかかるレンタル料金の割合が「金利」で、実際に支払う金額が「利子(利息)」
- この金利が変わるのが変動金利
- 低い金利が魅力な一方で、将来的に上がるリスクがある
変動金利とは? わかりやすく解説!│②見直し時期
変動金利の金利と返済額の見直し時期は決まっています。
金利と返済額の見直し時期
金利の見直しは半年ごとで、一般的には毎年4月1日と10月1日です。
金利の見直しは半年ごとですが、実際の返済額の見直しは5年ごとです。
35年ローンで組んだ場合、借り入れ時を除いて全部で6回見直されるということですね。
たとえば、ソニー銀行住宅ローンは金利が見直されるたびに返済額も変わります。
このように例外もあるので、借りようと思っている金融機関へあらかじめ確認しておくようにしましょう。
金利が上がったらどうなる?
それじゃ途中で金利が上がった場合、次の返済額の見直しまでどうなるの?
一般的には、金利が上昇しても5年に一度の見直し時期まで返済額は変わりません。
しかし、毎月の返済額から利息に支払うお金が増え、元金の支払いにあてるお金が減ります。
ーー元金が減ったままで返済を続けていると当初の予定どおりに返済が終わらなくなってしまいます。
そのため、5年に一度返済額そのものが見直されるのです。
返済額が見直されても、一般的には現在の返済額から最大1.25倍(125%)までしか上昇しません。
毎月10万円返済している場合は
10万円×1.25=12万5千円
となり、12万5千円が返済額上昇の上限です。
12万5千円返済していても、さらに5年後の見直しではまた1.25倍まで返済額が上昇する恐れがあります。
その場合、
12万5千円×1.25=15万6,250円
となり、15万6,250円が返済額上昇の上限となります。
- 金利の見直しは半年ごと
- 返済額の見直しは5年ごと
- 現在の返済額の1.25倍が上昇の上限
- 金融機関によっては5年ルールや1.25倍ルールがない場合も
変動金利とは? わかりやすく解説!│③リスク
変動金利には将来的に金利が上昇するリスクがあります。
中でも、最も怖いのがこれから説明する未払い利息です。
未払い利息とは
金利が急激に上昇し、返済額を上回ってしまった利息を未払い利息といいます。
返済額には1.25倍ルールがありますが、金利には上昇の上限はありません。
そのため、金利急上昇時には未払い利息が発生してしまう恐れがあるのです。
未払い利息が発生した場合、
- 未払い利息(まだ払えていない利息)
- 月々の利息(新たにかかる利息)
- 元金(もともと借りているお金)
の順で支払うことになります。
ちなみに、未払い利息が延々と繰り越され最終返済まで残ってしまった場合は一括清算しなければなりません。
返済が厳しくなった場合
返済が厳しくなってしまったら、返済期間の延長やローンの借り換えなどの手段があります。
変動金利から固定金利への借り換えは可能です。
しかし、条件内容が変わったり手数料負担が発生したりするので、よく検討する必要があります。
ひとりで悩む前に、まずは借りている金融機関へ相談してみてくださいね。
変動金利でリスクを抑えるには?
ここまで説明したように、変動金利は将来的に金利が上がる可能性があります。
そのため、固定金利と比較するとリスクが大きいと言わざるを得ません。
低金利のうちに元金をできるだけ減らしておくと、将来的に金利が上昇しても負担を少なくすることができます。
これから変動金利でローンを組む場合は、
- 金利上昇に備えて貯金し、繰り上げ返済を利用して元金を減らす
- ミックスローンで組む
ことで、リスクを抑えられます。
- 金利が急上昇すると月々の返済額だけでは利息が払いきれず「未払い利息」が発生するケースも
- 返済が厳しいと感じたらまずは借りている金融機関に相談を
- 金利が低いうちになるべく繰り上げ返済する・ミックスローンにするなどでリスクヘッジは可能
変動金利の仕組みまとめ:リスクを理解した上で上手に利用しよう
変動金利の住宅ローンでは、定期的に金利と返済額の見直しがされます。
低金利が魅力でもあるので、仕組みをしっかりと理解し、リスクヘッジをしながらうまく利用できるといいですね。
怖ければ全期間固定金利やミックスローンという選択肢もありますよ。
後悔のない住宅ローン選びができますように。
小幸とみ(@koyuki_baby)でした。
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