※この記事は金融機関職員の監修の下、執筆しています。
日本は地震の多い国です。
しかし、災害によって家が損壊したり流されたりした場合でも住宅ローンは残ります。
ーー今から紹介する制度が二重ローンで苦しい生活を立てなおしてくれるかもしれません。
この記事では、被災ローン減免制度について分かりやすく解説します。
- 震災でローンが払えない
- 住宅ローンがまだ残っている
- 住宅ローンをこれから組む予定がある
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被災ローン減免制度とは?
被災ローン減免制度の正式名称は「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」です。
この制度は、一定の要件を満たす場合にローンの減額や免除を申し出ることができる制度です。
- 住宅ローン
- リフォームローン
- 車のローン
- 個人事業ローン
被災ローン減免制度のメリット・デメリット
あまり周知されていないものの、被災ローン減免制度はメリットが多い制度です。
メリット
自己破産のときとは違い、いわゆるブラックリストには載りません。
そのため、新たにローンを組むことも可能です。
信用情報機関ってなに? という人はこちら!
- 被災者生活再建支援金
- 災害弔慰金
- 災害障害見舞金
- 義援金
に加えて、これとは別に最大500万円までの現預金を手元に残せます。
自己破産のときに残せる現預金は99万円以下なので、およそ5倍ですね。
この制度では、原則保証人にローンを請求しないこととなっています。
そのため、保証人に迷惑をかけることはありません。
被災ローン減免制度では登録支援専門家弁護士の支援を無料で受けることができます。
被災ローン減免制度を利用した債務整理を申し出ると、基本的に取り立てがストップします。
一時的ですが、ローンに追われなくなるのでこの間に家計を立てなおすことができます。
デメリット
手続きに時間はかかりますが、その間の取り立てはストップするので、条件さえ満たしていれば利用を考えてみてもいいでしょう。
- 被災ローン減免制度は住宅ローン以外にも使える
- 自己破産に比べるとメリットが多く、デメリットが少ない
- 手続きに時間はかかるが、その間の取り立てはストップする
被災ローン減免制度の利用条件と手続きのやり方
この被災ローン減免制度は、誰しもが受けられるわけではありません。
利用条件
被災ローン減免制度を利用するには、以下の条件にすべて当てはまっている必要があります。
- 災害救助法の適用が認められた自然災害である
- 災害によりローンの返済が困難である
- 今までしっかりと返済されている
- 個人または個人事業主である
- 免責不許可事由がない
この制度は災害救助法の適用が認められた自然災害のみ対象です。
自分の不注意による火事などには適用されません。
災害救助法の適用状況/内閣府防災情報
自然災害により、収入が減少したり家が損壊したりするなどで、ローンの返済が困難である人が制度の対象です。
個人の場合の目安としては、
- 世帯年収が730万円未満
- 返済比率が年収の40%以上
が挙げられます。
個人事業主の場合はこれとは別の条件が適用されます。
被災する前からローンを滞納している人は、この制度を利用できない恐れがあります。
法人はこの制度を利用できません。
免責不許可とは、責任を免れることを許されない、つまりここでは借金の支払い義務がなくならないということを意味します。
手続きのやり方
手続きは基本的に本人が行う必要があります。
- 金融機関に相談する
- 弁護士の依頼をする
- 債務整理の申し出をする
- 金融機関と協議
- 返事を待つ
- 裁判所で調停の申し立てを行う
- 弁済する
まず、ローンを借りている金融機関に制度を利用したいことを相談します。
その後、金融機関から同意書が発行されます。
弁護士会に支援弁護士の選任依頼をします。
その際、弁護士会に①で金融機関から受け取った同意書のコピーと登録支援専門家委嘱依頼書を提出してください。
なお郵送でも受付可能です。
弁護士にサポートしてもらいながら準備を進めます。
ローンを借りているすべての金融機関に債務整理の申し出を行い、財産目録などを提出します。
金融機関と協議します。
その後、調停条項案を債務整理開始申し出から原則3ヶ月以内に金融機関へ提出します。
調停条項案提出から1ヶ月以内に金融機関から同意もしくは不同意の返事があります。
本人が簡易裁判所に対し、 特定調停の申し立てを行います。
調停条項が確定したら、内容に従って弁済を行います。
①〜⑦の手続きをするのに半年以上かかりますが、この間の返済は一時停止します。
- 条件にすべて当てはまっているか確認
- 手続きは弁護士にサポートしてもらえる
- 手続きには半年以上かかるが、その間の取り立てはストップする
まとめ:家族を守るために被災ローン減免制度の知識を持っておこう
被災ローン減免制度は、二重ローンで苦しむ人への救済制度です。
ただし、金融機関側から積極的に情報提供されることはありません。
自分が被災ローン減免制度の知識を持っていなければ、条件に当てはまっていても利用できないのです。
被災ローン減免制度の条件を満たしていなくても、他の解決策があるかもしれません。
どうかひとりで悩まず、まずはローンを借りている金融機関に相談してみてくださいね。
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