2022年(令和4年)10月1日、育児休業中に社会保険料を免除される要件が変わりました。
この記事では社会保険料免除の新ルールを紹介しながら、年末年始に育休を取った我が家の体験談もお伝えします。
- 育休中の社会保険料免除の新ルールが知りたい
- 年末年始に育休を取る予定がある
- 社会保険料免除や賃金カット、育児休業給付金の金額例が知りたい
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【制度改正】育休中の社会保険料免除の新ルール
健康保険法等の改正に伴い、育児休業中の社会保険料が免除されるルールが変わりました。
どのように変わったのか一緒に見ていきましょう。
免除される社会保険料
育休の取得で免除される社会保険料は、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の3つです。
雇用保険料と労災保険料は免除されません。
介護保険料は40歳から支払うので、取得者が39歳以下の場合は健康保険と厚生年金が免除されるということですね。
社会保険料免除の旧ルールと新ルール(現行制度)
まずは今までのルールについて説明します。
旧制度
育休中の社会保険料免除における旧ルールはこちら↓。
健康保険法第159条
Wikibooks
育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。
育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月……。
ややこしい書き方ですが、育休終了日の翌日とはつまり復帰日のこと。
復帰日の前の月は社会保険料を免除するよということですね。
以前の社会保険料免除ルールは以下でした。
- 月の末日に育休を取っていればその月は免除
- 復帰した月から社会保険料がかかる
- 育休開始と仕事復帰が同じ月の場合は免除とはならない
今までは、たとえ3週間育休を取っていようとそれが同じ月内であった場合は社会保険料の免除対象とはなりませんでした(例:12/3〜12/24)。
復帰した月から社会保険料がかかるため、月の末日に育休を取っているかどうかがポイントだったわけですね。
極端な話をすると、今までは月の末日をたった1日休むだけでも社会保険料が免除になるケースがありました。
ボーナスも給与と同条件で免除されていたため、ボーナス月の末日育休が裏技のように広まっていました。
今回の改正でボーナスの社会保険料免除については厳しくなっています。
現行制度:2022年10月1日以降
社会保険料の免除ルールが変わったのは、2022年10月1日です。
- 同じ月内の育休でも2週間以上なら免除
- ボーナスは1か月を超える場合のみ免除
これまでの保険料免除要件(※1)に加えて、育児休業等を開始した日の属する月内に、14日以上(※2)の育児休業等を取得した場合も、当該月の月額保険料が免除されます。
※1 育児休業等を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月まで
日本年金機構
※2 休業期間中に就業予定日がある場合は、当該就業日を除く。また、土日等の休日も期間に含む。
旧ルールに加えて、2週間以上の育休で育休開始月の社会保険料が免除されるようになったのです。
たとえば、12月3日から12月24日の育休だと今まで免除されなかった社会保険料が、現行の制度では免除されるということですね。
「これまでの保険料免除要件に加えて」ですので、月の末日にたった1日育休を取るだけでも今までどおり免除されます。
賞与保険料は、賞与を支払った月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に免除されます。
日本年金機構
旧ルールでは、月の末日に育休を取っていれば給与とあわせてボーナスの社会保険料も免除されていました。
今のルールではこれが厳しくなり、ボーナスについては1か月以上育休を取っているときのみ免除となります。
今回は社会保険料免除に焦点を当てましたが、改正されたポイントは他にもあります。詳しくは以下の解説をご覧ください。
- 給与→月の末日に1日でも育休を取っていればその月は社会保険料免除
- 給与→上記旧ルール+同じ月内の育休でも2週間以上なら育休開始月は免除
- ボーナス→1か月を超える育休の場合のみ免除
【体験談】年末年始に育休|注意点と免除される社会保険料
私は息子が生まれた当時に夫に育休を取ってもらいました。
制度改正前のことですが、そのときの体験談と育休取得の注意点をお伝えします。
休日だけは不可
年末年始はもともと休日としている会社が多いです。
育休には労働日を含めなければならないので、休日のみを育休として申請することはできません。
1日育休をやりたくても、12月31日が会社の休日ならその日だけを育休とすることはできないのです。
- 12/31のみ育休→×
- 12/31〜1/3育休→×
- 12/30・31育休→⚪︎
- 12/31〜1/4育休→⚪︎
労働日を1日でも含めていれば開始日や終了日が休日であることは問題ないようです。
年末年始に育休を取りたい場合は、念のため会社に相談してみてくださいね。
ボーナスは1か月以上の育休で免除
制度改正により、ボーナスの社会保険料免除は1か月以上連続で育休を取った場合のみ。
年末年始の数日の育休では、給与の社会保険料のみ免除となるのでご注意ください。
もしも12月31日〜1月30日の1か月間育休を取得したとすると、免除されるのは12月分の給与とボーナスの社会保険料です。
同じ月内に2週間以上の育休で免除というルールがありましたが、それはあくまでも育休を開始した月のみ。
ややこしいですが翌月以降は旧ルールどおり、末日に育休を取っていればその月の社会保険料が免除です。
何がどれくらい免除される?
育休で免除される社会保険料は、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の全額です。
社会保険料の額は標準報酬月額によって計算されます。
自分の場合はどれくらい免除になるのか、一度給料明細を確認してみてもいいですね。
ちなみに夫の給料明細を確認してみたところ、12月のボーナスで合計約7万・1月の給与で合計約5万が免除になっていました。
賃金カットと育児休業給付金
夫が育休を取ったのは12月30日〜1月3日の5日間です。
12月の給与で約2万、1月の給与で約3万円。さらには夏のボーナスでも約1万6千円が賃金カットでマイナスになっていました。
あわせて約6万6千円が賃金カットになったということですね。
これには育児休業給付金という救済策があります。
夫の場合、2月1日付けで職業安定局から約4万3千円が振り込まれていましたよ。
社保免除 | 賃カット | 育休給付 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
12月給与 | – | -2万 | – | -2万 |
12月賞与 | +7万 | – | – | +7万 |
1月給与 | +5万 | -3万 | – | +2万 |
6月賞与 | – | -1.6万 | – | -1.6万 |
2月 | – | – | +4.3万 | +4.3万 |
合計 | +12万 | -6.6万 | +4.3万 | +9.7万 |
表のとおり、申請のタイミングによっては免除や給付にタイムラグが生じるので、注意が必要ですね。
育児休業給付金は、育休開始半年までは基本的におよそ67%が給付されます。
我が家の場合を計算してみると……
66,000円×0.67=44,220円
賃金カット合計が約66,000円だったのに対し、給付金が約43,000円でしたので計算結果に近い数字はもらえていました。
- 育休には労働日を含めて申請しよう
- ボーナスの社会保険料は連続1か月以上の育休で免除
- 免除される社会保険料は健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の全額
- 育休期間中は賃金カットが発生するが、約67%が育児休業給付金として後日支給される
まとめ|注意点に気をつけて育休を取得しよう
この記事では育休中の社会保険料免除の新ルールと我が家の育休体験談をお伝えしました。
ボーナスについては以前より厳しくなりましたが、そのほかは緩和された印象です。
12月は多くの企業でボーナスや年末年始休暇がありややこしいですが、我が家の体験談が少しでもお役に立てば幸いです。
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